Vol.1 旧市街をそぞろ歩けば


バンコクから約2時間、ホイアンへの玄関口となるダナン国際空港に着く。

空港からタクシーで約40分。ダナンから約30キロ南下してホイアンへ。空港からは公共の乗り物もシャトルバスなどもなく(2018年現在)、タクシーを利用するしかない。宿が送迎を提供している場合はそちらのほうが安くつく。

ベトナムは初めてだ。

言葉がまったくわからない国を旅するのは久しぶり。

勝手がわからないのがかえって新鮮で、東南アジアに共通のがちゃがちゃした空気と、食べ物の匂いと、ねっとりと湿った空気に生き返った思いがする。

川沿いを歩く

三角傘(ノンラーというそうだ)がベトナムらしさを盛り上げる
旧市街の川沿いの建物は黄色い壁で統一されている

なるほどここは、インスタ映え抜群な街。

ラジオで話されていた通り、ザ・観光地で観光客が闊歩するなか、地元の人の生活もすぐ近くにあって、そのバランスがとてもいい。

連なるお土産物屋さんがいかにも観光地なのだけど、ふとした日常が覗けることも
青い空に映えそうな凧たち
この低い椅子がベトナム感をさらに盛り上げる

夕暮れが近づいてきて、街がなんとなくそわそわしてくる。

初めて来たけど、前にもここに来たことがあるような気がする。

蒸した空気を横切る川風が気持ちいい。

人呼んで日本橋。かつて貿易の中継地として栄えたホイアンに移り住んだ日本人がつくったそうだ
そろそろ灯りがともるころ
このふたりの関係をついつい考えたくなってしまう光景。なんだろう、路上の足指手入れ屋さん? 行けばよかった!

川沿いにはカフェやレストランが立ち並ぶ。オープンエアの席に陣取って夕暮れを味わう。

お供はエッグコーヒー。上澄みに浮いた甘いクリームをなめなめ。

つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

なぜか、徒然草を思い出す。

卵黄と練乳が混ざったクリームがコーヒーの液体の上に浮かんだエッグコーヒー

夕暮れホイアン

川に何かを流すカルチャーはどこから来たのか。

遠くインドで、花々とたくさんの供物とともにガンジス河に流された遺骨。

年端もいかない子どもらが売る、ディヤーと呼ばれる祈りの灯火を、何度も流したことがある。

月夜に無数のディヤーが静かに流れていく川面は、やがて星がまたたく夜空との境界がなくなり、浮世離れして見えた。

水が運んでいくのは来世。それはきっとここホイアンでも。

日暮れとともに人波が増えていく。川には灯籠を流す舟が連なる
おばあちゃんが作ったのかな。灯籠流しの灯籠
ランタンが日暮れの街に映える
夜市がたつアンホイ島へ渡るアンホイ橋は大混雑